これまでの情報技術が主に対象にしてきたのは、人手で行ってきた定型的な処理を、いかに速く正確に行う手助けをするかということでした。近年の情報技術の進歩は当初の目的の多くを達成したといえます。私たちは、これからの情報技術の進む方向が、情報基盤の上を流れる多彩なデータの高度利用技術にあると見ています。それを可能にする糸口は、これまで情報処理システムを構築するために培われてきた技術の外にあります。これまで私たちは、自然言語処理、最適化、アルゴリズム、データマイニング、機械学習などの分野でワールドクラスの研究成果を挙げてきました。私たちはまた、これらの研究成果を背景に、テキストマイニングや生産最適化などの分野において、実世界に大きなインパクトを与えています。
研究分野
最適化とアルゴリズム
データの高度利用といった時、素性のはっきりしないデータの集まりから何か有用な知識を引き出す技術(知識発見、データマイニング)と、観測されたデータをもとに手元の資源を無駄なく使う技術(最適化)の双方が応用上重要です。
ここでは、産業上に現れる最適化問題を解くための基盤技術を研究しています。企業や社会が抱える課題は複雑で、また不確実な要素もあり、標準的な最適化アプローチの適用が難しいことが多くあります。各種のアルゴリズムの研究に加え、最近では特に、確率的な要素を含む最適化問題の研究に力を入れています。
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機械学習とデータマイニング
機械学習は、大量のデータから有用な知識を引き出するための技術として、最近ますます重要性を増しています。実世界で取得されるデータは、伝統的な機械学習や統計解析の枠に収まらないものも多く、既存の解析パッケージでは解決困難な問題が多くあります。例えば、物理的なセンサーデータはその代表的な例です。ここでは、時系列性を持つデータの解析技術、グラフやネットワーク等の構造が関係する状況でのデータ解析技術、などに注目して研究を行っています。
既存のデータを元に、入力と出力を結びつける関係を学習する、という機械学習のアプローチは、実世界の解析にきわめて有効ですが、それだけでは扱いきれない問題もまた多く存在します。代表的なものが、交通システムにおける渋滞の発生、経済現象におけるバブルの発生です。このような現象に対して、ビジネス上意味ある知見を与えるために、マルチエージェントシミュレーションの技術にも力を入れています。
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プロジェクトの詳細:
- 機械学習とデータマイニング
- エージェントシミュレーション技術
最適化生産スケジューリング
鉄鋼業を主な対象に、製造設計とスケジューリングに関する離散最適化問題に取り組んでいます。最適化手法の発展や、コンピュータ自体の処理能力の向上に伴い、熟練者にも対応できない大規模な問題を扱えるようになり、熟練者を上回る品質を出すことも可能になってきました。我々はワトソン研究所と共同で、 PDOS (Production Design and Operations Scheduling) というソリューションを開発しています。 PDOSは、在庫充当、薄板スラブ編成、厚板スラブ編成、製鋼スケジューリング、熱延スケジューリング、薄板一貫スケジューリングの6つの最適化モジュールから成り、アジアの先進的なお客様において実績を上げています。
テキストマイニング
コンタクトセンターやWeb上の掲示板などにあふれている「お客様の声」などの大量のテキストを分析するツールの研究・開発を行い、企業活動のための知識発見に役立てています。私たちは、IBM TAKMIというテキストマインング・ツールの研究開発を長年に渡り実施してきました。このIBM TAKMIは、現在IBM Content Analyticsとして製品化されています。このIBM TAKMIは、自然言語処理技術、高速なマイニングを可能とするインデキシング技術、及び対話的なマイニングビューを融合したものとなっています。
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ソーシャル・アナリティクス
ソーシャルネットワークシステム(SNS)やブログなどに代表される、コミュニケーション・ツールの活用が盛んになっており、コンテンツ内容だけでなく人と人とのつながり(ネットワーク)も考慮した分析手法が必要となってきています。このプロジェクトでは、テキスト分析技術とネットワーク分析技術を融合した新たなフレームワークの研究と、その上に構築されるコンテンツ推薦や広告配信などのアプリケーションの研究をしています。