プロフィール
私は入社以来、情報アクセシビリティの研究に取り組んできました。アクセシビリティ技術とは障がい者や高齢者を含むすべての人が自由にIT機器を操作できるようにするための技術のことで、研究分野としてはヒューマンコンピュータインタフェース(HCI)の一分野になります。高齢化社会を迎えた日本にとって今後も重要性が高まる分野であると確信しています。
1980年代には、デジタル点字の研究に携わりました。点字データをネットワークを介して共有するシステムは点字図書館により運営され、現在も広く利用されています。
1990年代はWorld Wide Web (以下 Web) を視覚障がい者の新たな情報源にするために、ホームページリーダー(HPR)を開発しました。画面やマウス操作なしで、合成音声とキーボード操作だけでWEBにアクセスできる、しかも初心者の方でも容易に使えるようなインタフェースを提供することは大変困難な仕事でした。それだけに、1997年に製品化された後、使いやすいツールとして多くのユーザーの方から評価していただいたことは大変うれしいことです。ホームページリーダーはその後、世界11カ国語版が開発されています。
2000年に入るとWebはよりヴィジュアルに、よりインタラクティブに発展を続けました。そのような時代に合わせてWebページ制作者がアクセシブルなコンテンツを作成/編集できるよう支援するツール「aDesigner」や動画やアニメーションといったマルチメディア・コンテンツにアクセスすることを可能にした音声ブラウザ「aiBrowser」の研究開発を行いました。また、2007年にはこれらの成果が無償で利用できるだけなく、技術の進歩に合わせて誰でも修正を加えられるように、Eclipse.orgにおいてオープンソースとして提供を開始しました。
現在取り組んでいるプロジェクトは、インターネットを通じた新しい助け合いの仕組み、「Social Accessibility」です。障がい者と一般のボランティアが協力して、元のウェブページに変更を加えることなくその使い勝手を改善することができる、ソーシャル・ネットワークを利用した新しいサービスです。今後、このような仕組みがWebアクセシビリティのあり方を変えていくのではないかと予想しています。
今後も障がい者だけでなく、携帯端末のユーザや高齢者、発展途上国の非識字者などさまざまな困難をもったユーザが情報化社会に参加できるようにするための技術を研究していきたいと思っています。
1985年 日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所入社
1997年 IBM ホームページリーダー開発
2001年 IBM Academy of Technology メンバー就任
2004年 Web Accessibility の評価ツールである aDesigner(エーデザイナー)開発
2004年 東京大学工学系研究科先端学際工学専攻 博士課程修了 博士(工学)
2007年 IBM Distinguished Engineer 就任
2009年 IBM Fellow 就任
ACM、電子情報通信学会、情報処理学会 会員
Publications
受賞
2011
- ABI (Anita Borg Institute for Women and Technology): Women of Vision Award
- 文部科学大臣表彰 (科学技術賞 開発部門)
(浅川智恵子、高木啓伸、福田健太郎、、伊藤隆)
2010
- SWE (Society of Women Engineers): Achievement Award
- 平成21年度情報処理学会フェロー
2009
- 情報処理学会 「平成20年度喜安記念業績賞」
(浅川智恵子、伊藤隆、高木啓伸、福田健太郎、前田潤治)
2006
- 名古屋ライトハウス、第1回近藤正秋賞
2005
- 日本広告主協会、Webクリエーション・アウォード「Web人賞」
2004
- 日経BP社「日本イノベーター大賞」 優秀賞
- 日本女性科学者の会 功労賞
2003
- 日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー 2004 総合 2 位
- 大和市産業人表彰 「大和市長賞」
- WITI殿堂入り "The WITI Hall of Fame 2003"
(WITI: The Women in Technology International)
2002
- ACM SIGCAPH "The Best Paper Award ACM ASSETS 2002" (高木啓伸、浅川智恵子)
(ACM SIGCAPH Conference Assisitive Technologies Assets 2002)
1999
- 厚生大臣賞 (MHW)
"Award from the Minister of Health and Welfare for accessibility research activities 1999"
1998
- ACM SIGCAPH (ACM) "The Best Presentation Award ACM ASSETS 1998"
1996
- 情報処理学会学術奨励賞
